2015-08-06(Thu)
またお茶が飲みたくなっちゃった~日本茶アンバサダー満木の佐藤園訪問記~Vol.1
Vol.1_お茶は売るものじゃない…?
美味しいお茶が飲めると聞いて、品川駅からこだまにのって80分、静岡駅からさらに車で20分、佐藤園を訪ねてきました。
静岡といえば日本一の生産量を誇る茶どころ。佐藤園があるのは静岡市内を流れる安倍川の上流。800年の歴史がある、徳川家康も愛した『本山茶』の産地です。家康公が飲んでいたのですから、それは美味しいお茶にちがいありません!テンションが上がります。
本社に到着。さっそくお茶をいただき・・・いただく前に、まずは茶畑に。山のお天気は変わりやすいですからね。午後は曇りと天気予報でいってましたし。細いくねくねとしたなだらかな坂道を15分ほど車で登ります
『これより水見色』と看板が。みずみいろ、とは、なんとも美しい響き。佐藤園の茶畑があるのはこの水見色地区です。お茶が美味しくはいりそうな地名にまたもや期待が高まります。
茶畑を案内してくださったのは、佐藤園の常務取締役でお茶を育てて40年、森山幸男さん。
森山さんはお茶作りの名人、小林隆雄さんに師事してお茶作りを、そしてと何より大切なお茶を作る人間としての心を社長(現在は会長)に学びました。「お茶は売るんじゃない。お金を預かってそのお金で美味しいお茶を作ってお返しするんだと教わりました。」教えを心に、土のレシピを30年かけて開発し、佐藤園の代名詞とも言える『芯蒸し茶』を完成に導きました。
「佐藤園は深蒸しで豊かな味わいを引き出しつつ、蒸す工程でとんでしまいがちな香りをしっかり留め、かつ粉っぽくないお茶づくりに取り組んできました。そのための茶樹の選定、土作りと逆算して何度も試行錯誤を繰り返し、独自の機械開発も行っています。全てはお客様に喜んでいただくためです。お茶農家の中には採算が合わなくても続けている方がいますがその気持ちが自分にはわかります。売れればいいって商売じゃないんです。喜んでいただかなくちゃ。」
茶畑の真ん中で感動がとまりません。
お茶を飲んでほっこりするのは作り手の深い思いがあるからなんですね、きっと。
そんな思いのこもったお茶をそろそろいただく・・・前に、佐藤園さんの茶畑のてっぺん、標高400メートルまで歩いて登ります。思いのこもった茶畑なだけに土が柔らかくて足がとられて、登るのがたいへん。。。
明日メッキメキの筋肉痛になることを覚悟して、えっちらおっちら登ります。ここで農作業をするのはどんなにか大変でしょう。お聞きすると、やはり高齢になると続けるのが難しく、同じ地区で放棄された茶園もあるそうです。
なんでそんな作業困難なところに茶畑を・・・?
「お茶にとって最適な環境だからですよ。このあたりは古生層といってミネラルが豊富で黒い砂利を含んだ水はけのいい土壌です。さらに日照条件。山に囲まれ朝夕の寒暖の差が大きく、近くを流れる藁科川の川霧が立ちこめて天然の覆いになって、被覆したような美味しいお茶に育ちます。だから800年もこの土地でお茶が育てられ続けているんです。」
なるほど。最適な環境でたっぷり愛情をこめて育てられているからこんなに美味しいお茶が・・・お茶が・・・そろそろわたしにお茶を・・・。というわけで、本社に戻る前に記念撮影を。
茶畑が広すぎてわたくし点になっております。
しかし、絶景。ナウシカの谷を思い出しませんか?
ということで、お茶をいただきました。佐藤園の一番人気『安倍の清流』です。あべのせいめいではありません。
スッキリと爽やかで一番人気もうなずけます。美しい茶畑を眺め、お茶作りにかける思いを伺ったあとに飲むと、いよいよ美味しく感じます。

ライタープロフィール
満木 葉子(みつき ようこ)
日本茶アンバサダー協会代表理事
神戸に生まれ鹿児島で育つ。立教大学を卒業後、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社ほか複数の大手企業勤務を経験後、日本茶のファンを増やすため日本茶アンバサダー協会を設立。現代のライフスタイルにあわせた日本茶の楽しみ方の提案、普及活動を行う。抹茶の点て方レッスンや日本茶の淹れ方教室、茶摘みなどイベントを開催。茶園や酒造会社、飲食店と組んで日本茶に親しむ機会を創出。
http://www.nihoncha.org/